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【小説】殺害予告者の閉鎖病室1212第5部

殺害予告者の閉鎖病室1212第5部

 

第17幕父親の過去
広日記『16時30分母面会に来る』
海里「今日は早かったでしょ?そう言えば今日成田先生とはなしたんでしょ?どんな話ししたか聞かせてよ」
広は昨夜暴れた事、次暴れたら身体拘束と、ナースに提案した、暴れず済む方法としてハグがある事を伝えた。
海里「耐えて欲しかった。自ら悪化させているのを気づいてよ。とりあえずハグはナースさんと同じ意見かな。さて今日も歩こう。歩く事は健康に良いんだよ。退院してからも歩こうね」
広日記『17時37分夕食が病棟に届いたアナウンス』
広日記『17時45分夕食が運び込まれる。白米、牛肉炒め、トマトサラダ、ほうれん草、お茶』
海里「ママは少し一階で気分転換してくるね」
広日記『18時18分完食。夕食後の薬を配るアナウンス。母は気分てんかんの為、私から離れた。』
広日記『18時28夕食後の薬来る』
広日記『18時40分母戻る』
ナースステーションを囲むように何周かした後、多目的室で2人で会話した。
海里「さっきは一人になって考えていたんだ。結論、イラついたり不安になったりして、暴れる負の連鎖を断ち切ろう」
広「学生の頃からそうだった。学校の先生も言っていたよね。「将来この子が暴れる事で世間に迷惑や世話になりかねない」って」
海里「よく覚えていたね。とにかく突発的な感情で殺意や暴れる思いをしない事は広にとって大事な事だよ。その感情を抑える事は広の中のルールにする事で広が生きやすいはず。退院する上でそれはみんなの幸せと広の幸せに繋がると思う」
広「そう言えば昔は海里もパパも若かったからパパが暴れても海里は止める力があったと思うけど、私が暴れれば今じゃ止められる力無いでしょ」
海里「そうだね。よくパパも暴れていた。でも今は暴れる事無くなったし、きっとじっと堪(こら)えているところはあると思う。それとずっと稼ぎ手として家族をちゃんと、なんだかんだ支えて来てくれた。今思えばありがたく思うよ」
広「うん…パパの虐待されていた生い立ちの過去を知っていれば今となれば許せるところはある」
海里「昔はパパも家出したりして、何か伝えたかったんだと思う本当に広よりパパは若い頃は酷い家庭で育ったよ」
広「そうだね、でも私も家出を繰り返した」
海里「まだ広が家出した時の置き手紙を残してあるよ」
広「そうなんだ。残していたとは。そうだフォロワー数確認させて」
海里「いいよ」
メインアカウントのフォロワーは一つ減っており、広は仕方ないと思った。もう1つのアカウントは何故か一つ増えていて、広は不思議だなと思った。そして面会終了まで5分前のアナウンスが流れ、隔離室に戻り別れ際にいつもの握手を交わし、広がハグして欲しい事を海里は察してかハグも交わして、広は母海里との面会を終えた。そして20時に重たい扉が閉ざされた。
広日記『20時30分寝る前の薬を配るアナウンス』
広日記『20時45分寝る前の薬来る』
広日記『21時15分消灯の為明かり消される』
広日記『23時頃就寝』
7月6日金曜日はこうして終わった。

 

第18幕僅かな隔離の開放時間
7月7日土曜日
広日記『2時20分・4時起床今日は七夕!願いよ叶え!空は曇天。今日中には天川見えるかな』
広日記『5時次第に空もぼんやり明るくなりナースコールを押して、私は「おはよう空は曇っているけど今日の内に晴れて天川見れて願い事叶うといいな」ナースさん「そうですね。まだ起きている時間じゃないので、ゆっくり休めそうですか?」私「もう起きちゃったから寝れないでも話ししてくれてありがとう」という会話をした。』
広日記『7時朝食が届いたアナウンス』
広日記『7時10分朝食が運び込まれる。パン、豆乳スープ、キウイ、牛乳、お茶。完食した。』
広日記『7時35分朝食後の薬を配るアナウンス。私は起きてから小型音楽再生機で好きなシンガーソングライターの歌を聴いていた。小型音楽再生機のバッテリーの持ちがとてつもなく悪いのでバッテリーの消耗に気を使いながらいつも聴いている。』
広日記『9時25分成田先生に診察室に呼ばれる』
成田「おっ今日は起きているじゃん。偉い。早速だけど診察室で話そうか」
病棟内の診察室に2人で向かい入った。
成田「ナースさんから聞いたよ。ハグで暴れないんじゃないかって?それは親しい家族とかなら分かるんだけどなー。ハグや暴れる以外に感情の発散させる手段は無いかな」
広「ハグ以外に無い」
成田「分かった。抱き枕とかどう?ハグの代わりになると思うよ」
広「学生時代に保健室の先生の提案で、一度あったけどダメだった」
成田「そっか抱き枕なら叩けるし良いと思ったんだけどなー。それで今日1日のみ隔離の開放時間を作ろうと思う。11時から13時まで。どう?2時間でお昼ご飯挟むけど、要らない?」
広「無いよりマシ」
成田「じゃあ今日1日のみ隔離の部分解除をするね。その開放時間の間での注意として暴れたり脱走したりしない?脱走したら、コチラも警察に通報せざる負えない」
広「大丈夫」
成田「本当に?本当に脱走とかされたら通報せざる負えないからね。それと宿題の暴れていいこと、悪いことに関しては3日にも言った通り、暴れて良い事が見つかれば暴れなくても良い事が見つかるはずだから」
広「昨日6日に母親と話して、暴れたい思いを抑えてルールを作る事で広が生きやすくなるって言われた。それと学生の頃に先生にも暴れる事で将来を懸念された事を思い出し、会話したんだ」
成田「なるほどね。じゃあとりあえずハグと似た効果のものを探そう。そして次の診察は月曜日ね。診察お疲れ様」
広「ありがとうございます」
広日記『9時53分診察が終わり、隔離室に戻る』
広日記『11時開放の時間だ。重たい扉が開かれた後すぐに、私は病棟内に出る。』
広日記『ナースさんに病棟内を歩く前に一応ということで、病棟内の多目的室などの各部屋の説明をされた。そのあとナースステーションを囲むように歩き周ったり、小型音楽再生機の充電を頼んだり、多目的室で、また願い事を書いた。なんせ今日は七夕だもの。願いは『SNSしたい。退院後SNSに居場所がありますように』と書いた。そしていつもは夕暮れの景色だけしか見て無かったけど、病棟内の大きな窓から昼の景色を見ることが出来て嬉しさを感じた。』
広日記『12時5分昼食が病棟に届いたアナウンス。私は病棟内に食事が届けられるのを見た。そして1212号室の隔離室に自分で運び込んだ。そうめん、ブロッコリーソテー、すいか、お茶。』
広日記『12時29分昼食完食。病棟内を歩き周れるのも、あと30分。食器を片付けに行こう』
広日記『12時35分昼食後の薬を配るのと検温するアナウンス』
広日記『13時私は隔離室に戻った。食後から私はめいっぱい思い残さないように歩いた。検温もナースステーションの前でして、手早く終えられる作業は手早くして、早く歩き周ることを優先した。去年の隔離から出られた時を虚しさもあったけどナースステーション前に患者が集まり、検温している姿を懐かしく思い、記憶の底から思い出していた。そしてまた今日隔離室から出られるようにお風呂の予約も開放時間外に取っておいた。平成最後の七夕を病院で過ごすとは思わなかったけど、こうして病棟内を歩き周れたのも、七夕の願いが少しだけ叶った気がした。気分が高揚しているせいなのか、今日七夕の土曜日にこうして病院で働いているナースさんや先生は立派だと思う。そして私を診てくれた元主治医安西先生も、今思えば立派な先生だった。私は本当に愚かなことをした。幸い未遂で終わったが、命と同じく大切なものを失ったに他ならない。私は結局罪人と違わない。私の罪は消えない。私はこの罪を償わなければならない。入浴まで時間があったから、隔離開放からそれまでを書くことが出来た。』
広日記『14時45分入浴』
広日記『15時20分隔離室に戻る。今日は入浴時間に余裕があったのでムダ毛処理する時間も出来た』

 

第19幕七夕の姉によるSNS講座
広日記『16時25分姉面会に来る。』
波音「暑い~!外は猛暑日って感じの暑さよ」遅れたがココで広の姉、波音(なみね)の簡単な自己紹介をしよう。波音はすでに会社員として働いており、土曜と日曜しか広の為に面会に来る事が出来ないのだ。そして性格は優しさや繊細さもあるが、男顔負けの強い根性もある以上。広「海里も波姉も毎回暑いって言うけど、もうそんな季節なんだね」
波音「そうよ。あちーよ。そう言えば3日は残念だったね」
広「うん…」
波音「広が退院したら遊園地に行こうよ」
広「いいね。どこの遊園地がいいかな」
波音「春にも行った遊園地に行こうと思っている」
広「あの遊園地好きだから良いと思う。行く行く!」
広日記『波姉との会話は、たわいもない会話が出来るが、やはり7月3日のことなどの話しが出ると罪に苛まれて、この1212号室の隔離室が刑務所の牢屋の中だと感じてしまう。しかしあの事から私は逃げてはいけない。ちゃんと向き合わなければ。』
波音「広が家に居ないから海里の独り言を聞く役が居なくて、私が帰ると海里が話し掛けて来る。それで聞き流していても、ずっと一人で喋っているの。海里ラジオのオンパレードよ」
広「ハハッ。海里ラジオのオンパレード。ウケる」
波音「ハハッ。ウケてる場合じゃないよ。こっちは毎日海里の独り言を聞かされているんだから」
広「でもどうしてSNSのフォロワーが急激に減ったんだろう」
波音「使い方が悪かったんじゃない?」
広「使い方も投稿内容も変わった事はして無かったよ」
波音「それじゃあ興味を無くされたんだよ」
広「興味を無くされた?」
波音「そう」
広「じゃあもう少しフォロワーが減る理由について教えて欲しい。紙にまとめよう」
波音「いいよ。その前に私の経験談。昔アイドルのアカウント繋がりで直接ライブ会場で会って、話ししていた時は仲良かったのね。だけど帰ったら、その人から何故だかフォロー解除されていた。その人の心に何があったかわからないけどさ。結局人間関係SNSと同じだよ。学生時代は仲良かった友達も私が働き始めてから会う事はなかった。つまりブロック。環境も変われば人間関係も変わる。そう言う事。じゃあまずフォロワーが減る理由って書いて」
広「フォロワーが減る理由っと」
波音「その下に箇条書きで良いから書いて行って。まずは興味が無くなったから」
広「興味が無くなったからっと」
波音「それとー、欲しい情報ではなくなったから」
広「欲しい情報ではなくなったからっと。これはどういう事?」
波音「それはフォローする人の中には情報欲しさにフォローする人がいるんだよ。その人に対しての興味じゃなく、その人が発信する情報に興味を持っているんだよ」
広「なるほど。次は?」
波音「次はー、投稿の統一性が無い」
広「投稿の統一性が無いっと。これはなんとなく分かる気がするけど説明して」
波音「投稿に統一性が無いと、ある時はアイドル、ある時は料理。みたいな、フォロワーに興味があるものと無いものを発信していれば情報の欲しいフォロワーからも、どちらからも次第に、そうしているとフォロー解除されるよね」
広「なるほど。じゃあ今のアカウントも趣味のオンラインゲームの投稿か日常的な投稿のどちらか1つにして、もう1つ新しくアカウントを作れば良いんだね」
波音「そうだね。それじゃあまとめに入ろうか」
広「うん」
波音「まずは自分の発信したいことを発信したいアカウントで発信する。そうする事でフォオロワーの維持になるって言うのも追加しておいて。それでフォローする人の目的は2つ。興味、情報。それを満たしてあげる為にアカウントを使い分ける。そんな感じかな」
広「そうだね。ありがとう。SNSの使い方の勉強になった」
波音「いいよこんな事ぐらい。メモは終わった?」
広「もう少しで終わる。…終わった。今日は七夕。願い事でもあった事が少し叶ったよ。それはね、隔離に開放時間があったんだ」
波音「おぉそれは良かったじゃないか。じゃあ病棟内を歩けたんだ」
広「うん。でも平成最後の七夕を病院で過ごすとはね。願い事全部叶うかな」
波音「少し晴れているね」
厚い雲の間に晴れ間が見えていた。
広「本当だ」
広日記『17時37分夕食が病棟に届いたアナウンス』
広日記『17時50分夕食が運び込まれる。白米、さんまの塩焼き、切り干し大根、かぼちゃサラダ、お茶。白米残す』
波音「広が食べ終わったら帰るね」
少し寂しそうに、広「うーん…」
広日記『18時23分波姉帰宅の為面会終了。波姉と話すと母との会話には無い、視点や話題があり、SNSの使い方や使って経験したことを聞けて、私には無かった発想がすでに波姉にはあった。とても有意義な面会時間だった。最後別れ際にハグをしてもらった。そしてフォオロワー数を確認してもらい変わり無かったので一安心した。』
広日記『波姉と話した「平成最後の七夕を病院で過ごすとはね。願い事全部叶うかな」「少し晴れているね」という会話を思い出し、私はまた空に向かって(願いが叶いますように)と願った。』
広日記『20時24分ズシーンと衝撃が下から来た。地震だろうか。揺れた。』
広日記『20時30分寝る前の薬を持って来た三澤ナースさんに確認した。やはり地震だった。』
広日記『21時15分消灯の為明かり消される。』

第20幕海里ラジオのオンパレードの引継ぎ
7月8日日曜日・
広日記『17時波姉面会に来る』
波音「暑い~!」
広「昨日地震あったよね」
波音「あった。震度3だけど長く揺れた。てか、また海里ラジオのオンパレードだったわ」
広「それは残念に。でも自分もある意味残念だよ。土日はお風呂以外この1212号室の隔離室から外に出られないのですもの」
広日記『17時31分夕食が病棟に届いたアナウンス』
広日記『17時39分夕食が運び込まれる。白米、肉じゃが、ナスの煮物、山吹和え、お茶』
広「この隔離室に居ると一日三食もいらない」
波音「お姉も今日はそんなに食べていない」
広「いつも思う。白米だけのこしたい。白米というラスボスは私には重たくて食べたくなくなる」
波音「まあ食べな。とりあえず飲み物少ないから、いつもの緑茶を下でその間に買って戻って来るね」
広「分かった」
広日記『18時17分夕食後の薬を配るアナウンス』
広日記『18時20分夕食完食』
波音「パパも仕事で帰りが遅いし、お姉が居なかったら海里の話しを今頃誰が聞いていたんだろう。広が居れば広に海里の独り言を任せられるのに。昨日も帰って来てから、海里寝ているなと思ってそっとしていたら、起き出して喋り出して聞き流していたから、内容覚えずにお姉は寝たよ。きっと海里は誰かと話したいんだろうね」
広「そうだね。自分がしたい事は夏を感じたいよ」
波音「そう言えば広の好きなシンガーソングライターをお姉の友達が好きになっていたよ。この前カラオケに一緒に行った時に、そのシンガーソングライターの歌を歌っていた」
重い扉と半自動扉の間にあるコンセントに小型音楽再生機の充電をしながら、しばらく2人で広の好きなシンガーソングライターの歌を聴いた。
波音「好きな曲はなに?」
広「これ。それとこれとかも。充電をしながらだから、好きな曲を聴きながら教えられる。いつもならこんなに曲を流して聴けない」
波音「本当にバッテリーの持ちが悪いんだね」
広日記『19時55分面会終了まで5分のアナウンス。それまで波姉は居てくれた。フォロワー数も変化無しだった。別れ際にハグもしてくれた。そして波姉「明日は海里が来る。だから海里の話し聞いてあげて」と言われた』

 

第21幕暴れていい事悪い事の宿題提出日
7月9日月曜日・
広日記『10時35分ナースさんが体調を聞きに来た。』
ナース「昨夜テンション高くなって暴れたみたいだね。なにかイライラしたの?」
広「ううん」
ナース「じゃあ楽しくなったんだ」
広「うん」
ナース「飛び跳ねたりするのは、良いけど壁叩いたりはダメだよ。今日もお風呂入る?午前中の今の時間なら入れちゃうよ」
広「今日は成田先生と話すから待っている。だから午後が良いかな」
ナース「分かった15時に予約入れておくね。それと今日は成田先生と何を話すの?」
広「この前宿題出されたからそれを見せながら話す」
ナース「宿題見て良い?」
広「いいよ」広は暴れていいこと・悪いことのメモをナースに見せた。
ナース「ふーんなるほどね。弱さを見られたく無いんだ。他に話したい事は?」
広「やっぱり退院を早めて欲しい。今回しでかした事もあるけど、やっぱりSNSという場に早く戻って繋がりのある人と連絡したい。SNS以上の関係の人とも連絡したいから通信機器も使えるようにする為、退院したい。自分と成田先生には年の差もあって、考え方にも差に違いがあると思う。でも今の時代SNSは連絡手段の一つだし、だから早く使いたい」
ナース「ふふっ、年の差ね。でもそうだね連絡手段だね。またなにかあったら、ナースコールを押してね」
広はこの会話を日記に書き記した。
広日記『15時お風呂に呼ばれる』
広日記『15時7分入浴』
広日記『15時35分隔離室に戻る』
広日記『15時55分成田先生が診察室に呼びに来る』
2人で診察室に向かう間に成田「そろそろ隔離に開放時間を作ろうかと…」
診察室で2人の会話が始まった。
成田「じゃあ早速だけど、この前出した『暴れていいこと・悪いこと』の宿題を見せて」
広は宿題のメモを成田先生に渡した。
成田「なるほど。思いを伝えられるって?」
広「感情表現」
成田「文章の方が伝わるんじゃない?激しくしたいの?」
広「それしかないから」
成田「自己表現ってこと?」
広「うん」
成田「人に触れると落ち着く?」
広「うん」
成田「温かい布とかじゃダメなの?」
広「人の温かさじゃなきゃダメ」
成田「だからハグなんだね。でもするなら家族とかなら分かるけど他人だとね……。それと暴れると弱さを見せている気がするから逆効果じゃない?」
広「自分を守る為」
成田「なるほどね。なにか境遇でもあるの?」
広「小学生の低学年の時に一つ上の学年からイジメられていた」
成田「相手に対抗する為なんだね」
広「父親も昔そう言っていた」
成田先生は一通り宿題のメモから質問したかった事を聞き終えた。
成田「話しは変わるけど隔離の開放時間が出来たら何がしたい?テレビを見たり、病棟内を自由に歩き周りたい?」
広「テレビはそんなに見ないし、隔離室はなにも無いからヒマだし、病棟出ても歩き周るだけしか出来ないから、連絡させて欲しい人に連絡させて欲しい。まだ出られないより通信機器を使えた方が良い」
成田「通信は最終段階なんだよな…。じゃあ他に開放時間を設ける以外に要望はある?」
広「特には…あっ、やっぱり通信させて欲しいぐらい」
成田「通信は最終段階。それで感じているんだけどさ、入院直後より穏やかになったよね。殺害予告と謝罪文を見る限り、切羽詰まっている様子が受け取れたけど、今は少し変わった」
広「そう?」
成田「まあね。それじゃあ診察おしまい。外に出よう」
診察室を出て多目的室の方へ向かった。
成田「多目的室には本があるから好きな物を取って行って良いよ」
広「この前の入院の時に持っていった。だけどそこまで好みの本は無かった」
成田は気を使ってなのか、あえて1212号室の隔離室への近道ではなく、遠回りにナースステーションを周って隔離室に戻った。そして重たい扉を閉める間際に成田「一応クッションみたいなのを持って来るね」
数分後マットレスを持って来て、成田「これなら叩いてもケガしないと思うから持って来たよ」
広は一連の成田先生との会話を日記に書き記した。
広日記『18時25分母面会に来る』
海里「暑い~!いつものね。まだ晩ご飯残っているじゃん」
広「まだ食べている。だけど今日は残すつもり」
海里「仕方ないなあー。てかマットレスが二枚に増えている!」
広「今日、成田先生と話してクッションの代わりになる物として持って来てくれたんだ」
海里「なるほどね。じゃあ後少し食べなさい。そうしたら歩こう。家族の事や家事をする中、暑い思いして広の着替えと飲み物を持って病院に来るのは大変。でも広の為なら頑張れるけど、いつもみたいに一旦休ませてからね。歩くのは体に良いんだから」
病棟内を2人で歩きながら。
海里「この前もチラッと話したけど九州の方の洪水が起きたでしょ?それがニュースを見ていて日増しに酷くなっているんだよ。」
広「ふーん」広は(被害が大きくなっているんだ)と思った。
海里「それで今日の話題はもう一つあって、ペットを飼ってみようと思うんだけど。例えば物静かなウサギとかどう?それで飼うのが難しそうなら、ボランティアでやっている施設とかで動物と触れ合ってみたら?人のように、ぬくもりを感じられると思うよ」
広「どうかなー。創作活動もあるし」実は広は(イラついた時に動物虐待しちゃいそうだな)と思った。
海里「きっと癒しになるよ」
広「うーん」
広日記『19時55分面会終了まで5分前のアナウンス』
広日記『20時5分母とハグして面会終了。少し面会終了時間が過ぎるまで今日は話して一緒居てくれた。』

 

第22幕隔離の部分解除と退院までのスッテプ
7月10日火曜日
広日記『10時12分成田先生に診察室に呼ばれる』
診察室には母海里の姿があり、広は(3人で話すんだ)と思った。
成田「今回の話しの要点は2つ。隔離の部分解除、つまり隔離の開放時間を少しだけ作る。もう一つは退院後の行動や生活する居場所をどうするかを話し合う事です」
広「この二つがあれば退院は早まるの?」
成田「早まるっちゃ早まる」
海里「退院にあたり、やはり退院後も通信には、ルール決めが必要かと。例えば投稿内容をチェックするとか」
成田「まぁこう言っちゃなんだけど、みんな入院中はほとんど通信出来ないもんね。制限が掛かっているのは今も変わらないですが、SNSに投稿する際投稿内容をチェックするのは、ありですね」
広は(やっぱり検閲が入るのか)と思った。
海里「二つ目に関してなんですけど、動物は飼えないけど世話をする場所はどうかと、昨日2人で話しました。それが二つ目になるかと」
会話を聞きながら日記メモしていた広が口を開く。広「なるべく早く退院したい」
成田「それは何度も言うけど気持ちは伝わっているからね。急いだとしても今からだと、退院までには4つ、5つ、ステップがあります。それもメモしておくと良いよ。ゆっくり説明してあげるね。今は隔離で保護されています。まず隔離室から出なくてはなりません。大部屋に移り、落ち着いて過ごすのが大切です。そのあと院外外出と自宅で、落ち着いて過ごせるかどうかの外泊をします。次に家以外の居場所探しをします。これは大部屋に移ってからでも出来ます。そして居場所の見学です。これは外出、外泊時の時でも出来ます。つまりステップとしては、隔離室を出て大部屋に移る。次に居場所探しして外出、外泊で居場所見学するのが最短の退院までのステップです」
広「居場所は所属している創作団体でも良いと思う。SNSに創作物の投稿を再開して発信して創作活動を通して活動する居場所になると思う」
成田「退院後の社会的活動は広さんの場合専門家の元の方が良い。その団体に広さんの病気を理解してくれる人はいないでしょ?」
広「確かに」
海里「だったら居場所の相談と専門家の元でしたら、保健所の人と面識があるので頼ろうかと」
成田「それは良い事です。良かったら連絡先の分かるものを教えて下さい」
海里「名刺があります。どうぞ」
成田「ありがとうございます」
成田は海里から保健所の人の名刺を受け取った。
成田「それでは次に隔離の部分解除の話しをしましょう。開放時間を今日から作ろうと思います。前回2時間程の開放だったけど、4時間で午前10時から午後2時までと、午前11時から午後3時までのどっちがいい?」
広「うーん…じゃあ11時から3時まで」
成田「じゃあそうしよう。それと今回の件と去年の心理検査の結果を見て、不安になったりした時怒りの対象が親しい人に向く傾向があると思いました。お母さんの言う動物を飼うのは、万が一を考えて危険と思えますが、施設でのボランティアでの活動は動物との距離が、ある程度取れていて良いかと。それでは診察終わりです。お疲れ様です。隔離の部分解除はあとでナースにも伝えておきます」
広日記『成田先生と母と3人の話しが終わり母と隔離室に戻った。』
海里「隔離に開放時間が出来て良かったね!おめでとうだよ!」
広「うん」
海里「じゃあまた、広は日記書いたりするだろうし、面会時間外だから一度帰るね」
広「うん。またね」
広日記『隔離室に戻ったあと、少ししてナースさんが来た。ナースさんに成田先生との会話の内容を聞かれた。私は隔離の部分解除が出来たことを説明した。するとそれを知ったナースさんが「成田先生に確認して来る」と言って一度隔離室から出て行った。まだナースさん全員には伝わって無かったようだ。そして確認して戻って来たナースさんは、11時も過ぎていたので重い扉を開けて隔離の開放時間が始まった。ついでにナースさんにお風呂の予約取ってもらった。そして今回の入院2回目の病棟生活の説明を受けた。少し病棟内を歩き周り、11時40分1212号室の隔離室に戻って日記に重い扉が開けられた時のことを記録。さてもう少し昼食だろう。今日から昼食は自分で病室まで運び込めるぞ。嬉しいな』
広日記『12時昼食が届いたアナウンス。さあ昼食を食堂前で受け取って病室に運ぼう。』
広日記『12時5分自分で昼食を運ぶ。白米、海老炒りと卵のあんかけ、みそ田楽、春菊、お茶。』
広日記『12時25分昼食完食。自らはいぜん台のある所に食器を持って行き、はいぜん台に食器を片付けた。さて病棟内を歩こう。』
広日記『12時45分昼食後の薬を配るのと検温するアナウンス。昼食後の薬を配るのと検温はナースステーション前か多目的室で行われる。今日はナースステーション前だったので私は他の患者と共にナースステーション前で検温をした。そのあともしばらく病棟内を周回して歩き周ったり、多目的室で窓際に寝転がれるので寝転んで景色見ながら休んだりした。』
広日記『14時30分ナースさんが「お風呂の時間」と声を掛けて来て隔離室に戻り、支度をした。』
広日記『14時35分入浴。15時5分隔離室に戻る。15時過ぎだったから重たい扉は閉められた。』
広日記『17時16分母面会に来るも、私は少し母が来てからも眠っていた。いつの間にか昼寝をしていたようだ。』
広日記『17時35分夕食が届いたアナウンス』
広日記『17時40分夕食が運び込まれる。白米、牛肉炒め、サラダ、煮物、すまし汁、お茶。』
広日記『18時5夕食後の薬を配るアナウンス』
広日記『18時31分夕食完食。ちょうど夕食後の薬も来る。』
広日記『19時母帰宅の為面会終了。いつもながら暑いと言うのと家事する時間が無くて大変と言う。また連日、九州の洪水の被害が大きくなっていることの話しを聞いた。今日は私が寝ていたり食べていたせいか、あまり話すことなく母は「今日は朝も来たし、面会に来たら来たで広は眠っていたから、話すことも無いし帰っちゃうね」と言って手を振るだけをして帰ってしまった。』